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第1回 ブルガリア 医学部 留学記 ~日本より低い難易度と授業料!?私がブルガリアを選んだ理由~

海外留学に興味あるみなさん、そうでない方も初めまして。Medical University Pleven(ブルガリア)医学部医学科の染井佳乃です。ブルガリアは、北はルーマニア、南はギリシャ、東部は黒海に囲まれている東欧に位置する国です。近年、チェコやハンガリー等の東欧へ医学部留学をする日本人が増えてきています。しかしながら、ブルガリア医学部の詳細な情報はインターネットで検索をしてもまだあまり出回っておらず、謎に包まれている印象を私自身も感じています。この執筆を通してブルガリアの医学部生のありのままをご紹介したいと思います。

ブルガリアの首都・ソフィアにあるアレクサンドルネフスキー大聖堂

ソフィア市内の風景

ブルガリアってどんな国?

ブルガリアはバルカン半島に位置する東欧の国で、国土は日本の約3分の1、人口は約650万人(東京の人口の約半分ほど)の小さな国です。世界地図で探してみてください。

公用語はブルガリア語です。スラブ語という言語グループのためロシア語やセルビア語に似ていると言われます。

ブルガリアといえば、真っ先に上がるものはヨーグルトという方も多いと思いますが、そう思われた方、正解です。また、ローズオイルの名産地でも知られています。大相撲の琴欧州関(現: 鳴子親方)の出身地でもあります!

2007年からEUに加盟していますが、ユーロではなくレフという通貨を使用しています。(1レフ=約89円 2024年7月) 

ブルガリア人はヨーグルトを何にでも使います。そのまま食べたり、ソースにしたりスープとして食べたり…

黒海沿岸の町・Varnaはヨーロッパ有数のリゾート地

簡単な自己紹介とブルガリア留学までの経緯

今回の記事では初めての記事なので、主にブルガリア留学を決めた経緯と理由について書いていきたいと思います。

まずは簡単な自己紹介と経緯から…

私は生まれも育ちも日本で、地方の高校出身です。両親も日本人のため、日本の英語教育を受けてきました。英語の塾なども通った経験はありませんでした。

元々は高校3年生まで国立文系(外国語学部)志望で、大学生になったら交換留学をして海外で勉強してみたいとぼんやり考えていましたが、高校3年生の夏に紆余曲折(本当にたくさん悩みました)を経て、医学部に進学することを視野に入れ始めました。

結局、現役時には文系の大学を受験し、無事に合格することができましたが、合格した全ての大学を蹴り、自分の本当にやりたいことを考える“自分探しの時間”にすることにしました。そこで出た結論は1. 海外で勉強をしてみたい! 2. 医学を学びたい!でした。「そうだ!海外で医学を学べればいいじゃん!でも金銭的に高いところは厳しい…」と考えていたところ、たまたまインターネットで出てきたのが東欧の医学部留学についての記事でした。その中でもブルガリアに決めたのは単純に授業料と生活費が1番安かったからです。その当時はまだ若かったため(当時21歳)、勢いに任せてブルガリアに飛び込んで行きました。

大学の入り口の写真

ブルガリアを選んだ理由

ブルガリアを選んだ理由は色々とありますが、この記事では4点を挙げてみました。

(1)学費と生活の安さ

先ほども経緯の中でお話しした通り、1番の理由は学費と生活費の安さです。私が通っているMedical University Plevenは一年間の学費が7500€(≒130万 2024年7月現在)と私立の医学部に比べ、安いことが最大の利点であると考えております。

ここ近年、ブルガリアの医学部で学費の値上げをしている大学が多くみられます。学年によって学費が変わっている大学も多く、2024年からMedical University Plevenも1年生の学費を年額8500€(≒150万)にしました。すでに在学している学生の授業料は今の所、据え置きです。値上がりはしましたが、それでも日本の私立医学部に比べると安価といえます。

また、ブルガリアはヨーロッパの中で最も物価が安い国の1つであり、スーパーに行くと食品が日本よりも安く感じることがほとんどです。家賃も日本に比べるとかなり安いです。物価についてはまた別の機会に書ければと思います。

(2)入学の難易度が日本の医学部に比べかなり易しい

ブルガリアの医学部の入試は日本に比べるとかなり易しいと言えます。科目は化学、生物の2科目ですが、体感としては日本の高校一年生で履修をする基礎科目(化学基礎、生物基礎)と同じくらいの難易度です。また、英語力の証明(B2以上、英検で言うと準1級から1級程度)が必要です。授業では英語を使用するため、入学時にブルガリア語のスキルは不要です。(病院実習では必要のため入学してからはブルガリア語の授業があります)加えて、理系の高い学力を求められることはありません。ですので、文系でも自力で合格できると思います

理系科目が原因で入試につまずくことはほとんどないと思いますが、日本人で多いケースは英語力不足でB2レベルまで達しないケースです。その場合は準備コースというコースに入り、英語・化学・生物・物理を1年間ブルガリアで勉強した後に期末試験を受け、合格することで1年生になることができます。日本人はほとんどの方がこのコースから始めていますが、個人的には英語さえ自力で学習できればこのコースに入らなくても良いと思います。

(3)卒業後、ヨーロッパで働くという選択肢が増える

ブルガリアはEU加盟国であるため、卒業後にEU内での医師免許を取得することができます。(ただし、働くためには就労許可や言語等の問題もあります)

日本人で日本の医学部を卒業した方がヨーロッパ内で一生働けないわけではありませんが、EU内の医学部を卒業した方と比較すると膨大な時間と労力が伴うと思われます。将来的にヨーロッパで働きたいと希望がある方には東欧留学は向いていると思います。私は将来的に住みたい場所の希望が特になかったためブルガリアに留学することに躊躇はありませんでした。

(4)とにかく面白い学生生活を送ってみたい!

今回、記事を書くにあたってブルガリアに来る前の自分について回顧してみましたが、現在の自分から見ると当時の自分は他の日本人とは違う面白い学生生活にしたいと強く願っていた気がします。ずっと日本で生活をし、いわゆる平凡な高校生活を送っていたからこそずっと他人と違うことに挑戦してみたいと思っていました。当時はまだ地方の高校から海外留学をする人、ましてや医学部留学をする人はいませんでした。高校3年生の時に合格した大学に進学するようにアドバイスをしてくださった高校の先生がいらっしゃいましたが、あの時に自分の直感ではありますが、国内の大学に進学をしなかったことに悔いはありません。ですが、私の周囲のブルガリアの医学部に通っている日本人でブルガリアに来たことを後悔している人もいます。学力が足りないことを理由に留学している日本人も多くいることも事実です。ですが、ネガティブな理由で留学するのはとても勿体無いです。月並みではありますが、留学をするからには目的意識を持ち、何事にも挑戦する気持ちを持ち続けられる人が成功します。実際、医学部留学は特に留年・休学・退学が多いです。(理由は様々ですが)それを乗り越えられるだけのモチベーションを持てる人が医学部留学に向いていると思います。

どの国でも当てはまると思いますが、異なる言語、生活習慣、膨大な勉強量に順応するのは大変なことです。しかし、それを乗り越えることは自分の自信になります。誰も経験したことのないような面白い学生生活になるはずです。また、留学する前の自分は知りませんでしたが、ヨーロッパでは日本に比べて交換留学等のチャンスがたくさんあると感じます。努力をした分だけブルガリア国内だけではなく、国外で素晴らしい機会が得られます。

以上、私がブルガリアを選んだ理由4つでした。正直に申し上げますと、ブルガリアの留学は向き不向きがはっきりしているように感じますが、私はブルガリアに来て正解だったと今のところ考えています。今回はブルガリアの医学部に留学を決めた理由や経緯を中心に執筆しましたが、他にもたくさんの情報を発信していきたいと思います。

勉強に疲れた時によく散歩するPleven市内の公園

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